「絞扼性イレウス」、あまり聞きなれない病名ですね。俳優のオダギリジョーさんのお子さんが1歳という幼い命を落としたというニュースを見た方もいると思いますが、この幼い命を奪った病気こそ「絞扼性イレウス」なのです。
目次
絞扼性イレウスの症状や原因は?
読み方は「こうやくせいイレウス」と言います。イレウスとは「腸閉塞」のことです。通常の腸閉塞と絞扼性イレウスはどのような違いがあるのでしょうか。
腸閉塞
・どのような病気なのか
腸の一部が狭くなり摂取した食べ物が腸に詰まってしまう病気です。そのため腸が膨らみお腹が張ってきます。強い痛みがおこったり和らいだりを繰り返します。
・症状
腹痛、お腹が膨らむ、嘔吐、吐き気など
・原因
ほとんどは、開腹手術をしたことによる他の臓器と癒着が原因でおこります。その他に大腸がんや胃潰瘍など腸内部の病気によるものや、高齢者でひどい便秘が原因になることもあります。
絞扼性イレウス
・どのような病気なのか
腸がねじれた状態になるため激しい腹痛をおこします。強い痛みがおこったり和らいだりを繰り返します。ねじれているためその部分に血液が流れなくなり、腸が壊死してしまうこともある病気です。食べた物が便として出て行かないので、それが口から逆流するため強い口臭となるのも特徴です。
・症状
突然の激しい腹痛、お腹が膨らむ、嘔吐、吐き気、顔面蒼白、ショック状態、嘔吐物や口臭の強い異臭
・原因
絞扼性イレウスには先天的な原因とそれ以外のものがあります。
1.先天的な原因
生まれつき小腸が閉鎖している「先天性小腸閉鎖・狭窄」という病気や、食道が閉鎖している「先天性食道閉鎖・狭窄」、生まれつき腸の神経がない「ヒルシュスプルング病」が原因になることが多いようです。
先天的原因の場合は、出生前に診断される場合もあります。
2.先天的な原因ではないもの
生後6ヶ月~2歳児に多くみられる「腸重積」があります。腸の一部が他の腸の部分にもぐりこんで重なり合ってしまう病気です。他には「壊死性腸炎」などが原因になることもあります。
子供が消化しないものを口にしてしまい、消化できず腸にたまり、それが原因で腸がねじれてしまうこともあります。
絞扼性イレウスは赤ちゃんに多い?
一般的には大人がかかることが多い病気ですが、前述の通り幼い子供でも先天的な原因などでかかることがあります。
子供の場合、絞扼性イレウスの症状が腸重積に似ているために、医師が誤診してしまったり見落としてしまうことがあり、取り返しのつかないことになるケースがあるようです。
絞扼性イレウスは早期に治療すれば助かる病気なので、誤診などあってはならないことですね。
症状が出始めていつもと違う異変を感じ病院に行く場合は、どのような症状がどれくらい前から、異変を感じたいつもと違う症状、など事細かに説明できるようにしておきましょう。誤診や見落としを防ぐのに、細かく必要することは大事ですね。
治療には開腹手術が必要か?
通常の腸閉塞の場合は手術以外の方法で治療するのが一般的ですが、絞扼性イレウスに関しては手術をしなければいけません。
症状により手術の内容は変わりますが、ほとんどはねじれている腸を元に戻す処置が施されます。血流を回復させ、腸の運動が正常になるようにします。
腸が癒着していればその部分をはがし、壊死している場合にはその部分を切除する必要があります。
まとめ
絞扼性イレウスは、早期に適切な診断を受け、適切な処置を行えば治る病気ですが、放置すれば死に至る病気です。いつもと違う腹痛、嘔吐物などがある場合は、速やかに病院に行きましょう。
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