予防策を講じても、運悪くアトピー性皮膚炎になってしまうことは少なくありません。
赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になってしまったら、かゆみが我慢できず、力加減がわからないので、掻きむしってしまい、見た目もひどく、赤ちゃん本人も相当つらい状態になるでしょう。
それを見ている周りの大人たちも、あまりにかわいそうでつらいでしょう。
ここまでくれば、お医者さんに行って、治療してもらうしかありません。
では、赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になってしまったら、どのように治療すればいいのでしょうか。
目次
標準的治療法
アトピー性皮膚炎の標準的な治療法は以下の3つになります。
1.入浴と保湿によるスキンケア
清潔な皮膚を保つために、入浴と皮膚の水分を保つ保湿を行います。
2.炎症を抑える薬物治療
アトピー性皮膚炎の炎症を抑える薬物療法では、科学的に有効性が確認されているステロイドやタクロリムスの塗り薬が使われます。
ステロイドとは、人間の体内で分泌されるホルモンの一種で、中でも糖質コルチコイドと呼ばれるステロイドが、炎症を抑える力が非常に強いことがわかり、治療に使用されるようになりました。
現在は炎症を抑える作用がより強い合成ステロイドが開発されており、アトピー性皮膚炎にも、ステロイドが使用され、目覚ましい効果を上げています。
ただ、副作用があるために、使用したくないという人も多くなってきています。
特に、長期間使用すると、色素沈着など皮膚に異変が起こることがあります。
また、皮膚から吸収されて、全身に望ましくない反応を起こすこともあります。
タクロリムスは、アレルギーの免疫反応を抑えて炎症を鎮める作用があり、皮膚炎の赤みやかゆみを抑えます。
タクロリムスは、ステロイドホルモンではないため、ホルモンの作用による副作用がないため、特にステロイドの塗り薬では副作用が出やすい、顔や首など皮膚の薄い場所にも使いやすい薬です。
しかし、タクロリムスの塗り薬は、中程度以下の湿疹に非常に効き目がありますが、顔では塗ったところにニキビができやすくなるなど、この点はステロイドの塗り薬と同じです。
違いは、健康な皮膚からは、ほとんど吸収されないため、全身への副作用はほとんど起こさないところです。
3.悪化因子への対策
アトピー性皮膚炎には、生活環境の中に症状を悪化させる因子があります。
例えば、食べ物ではたまごや牛乳が悪化因子となる赤ちゃんもいますし、環境といえばダニやほこりなどが悪化因子となる場合もあります。
これについては、お医者さんと相談して、どれが悪化因子なのかを探し、それを避けることで症状の悪化を防ぐことになります。
脱ステロイドとは?

最近では、副作用を心配して、ステロイドの使用をためらう人が多いようです。
一方で、先ほどもお話しした通り、ステロイドはアトピー性皮膚炎では、目覚ましい成果を上げているのも事実です。
では、ステロイドを使わない治療法とはどのようなものでしょう。
漢方薬治療
自己治癒力を高め、病気にならない体質を作るのが目的で古くから長年の経験を積み重ねてきたのが漢方です。
メリットは、副作用が非常に少ないことですが、デメリットとしては、同じ漢方薬が誰にでも同じように効くとは限らない点です。
光治療(ナローバンド)
ナローバンド光治療とは、最近普及してきた最新の治療法です。紫外線のうち免疫抑制に効果のある光だけを抽出して患部に照射し、アトピー性皮膚炎を治していきます。
保湿剤を中心としたスキンケア
アトピー性皮膚炎の人は、普通の人に比べて皮膚のセラミドが減少しているため、水分を蓄えておくことができません。
皮膚の炎症(赤みや痛み)が落ち着いているときは、保湿剤を塗るのが基本です。
これは、毎日続けなければなりません。
実際のところ、このようなステロイドを使わない治療を行っている医療機関は、まだ少ないようです。
どうしても「ステロイドは嫌」という場合は、ステロイド治療を行わない医療機関を探すところから始めなければなりません。
まとめ
- アトピー性皮膚炎の標準療法は、保湿、薬物治療、悪化因子の除去の3本柱
- 薬物治療には、ステロイドやタクロリムスの塗り薬が一般的
- ステロイドには、長期間使うと副作用が出ることがある
- ステロイド以外の治療法には、漢方や光治療がある
ちなみに、筆者がアトピー性皮膚炎を発症したのは小学校6年生の時で、赤ちゃんではなかったのですが、ステロイドの塗り薬で治療されました。
確かに、ステロイドの塗り薬の効き目は絶大で、あっという間に湿疹がなくなりました。
しかし、副作用らしい副作用は経験していません。
大人になってからは、ストレス(悪化因子)が強いときにしか湿疹は出なくなり、塗り薬はもう使っていません。
その代り、抗ヒスタミン剤とステロイドの配合錠を服用しています。
どのような治療が効果的かには個人差があるため、ステロイドを使う・使わないを含めて、症状に合った治療法をお医者さんと相談することが重要です。
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