
最近はメディアでも取り上げられることがあり、一般の方も耳にする機会は多いのではないでしょうか。
そのため、「もしかして、私の子も…?」と心配になる方も多いのでは。
今回は発達障碍の一つ、アスペルガー症候群についてお伝えしていきます。
目次
アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群は、分類的には自閉症の仲間です。
しかし自閉症とはちがい、言葉や知的な遅れは伴わないのが特徴。
コミュニケーション能力に弱さを持つアスペルガー症候群
「一方的に話してしまう」
「とても言葉を流暢に扱うが、言葉の中身まで理解することは難しい」
「他人の顔色、表情から気持ちを読むことが難しい」
これらがコミュニケーションの障碍と呼ばれるものです。
一見言葉をたくさん知っているため、問題がないと思われがちですが、大半は中身の理解が伴っていません。
また言葉を文字通り受け取ってしまうので、「海のように青い空」など、比喩表現の理解が難しいことも特徴です。
私たちが普段コミュニケーションを円滑に行うことができるのは、相手の表情から気持ちを考え、状況に応じて適切な言葉の選択をしているからなのです。
しかしアスペルガー症候群の場合、人の気持ちを察することが難しくなります。
そのため、相手からしてみれば「心ない言葉」のように感じてしまったり、一方的に会話をされうまく成り立たなかったり、ということが起きます。
本人たちには何の悪気もないのです。
ただ話したいこと、言いたかった言葉を伝えているだけなのです。
「こだわり」が強い
誰でも自我が芽生え始める2歳~3歳頃は自分なりのやり方にこだわったり、好きなものも決まってきます。
しかしこの自閉症やアスペルガー症候群のこだわりは、自分なりの法則性、順序が決まっていて、その通りにできないと強い不安からパニックになってしまうことも。
たとえば「いつもは年長の部屋でお誕生会をするけど、今月は年中の部屋でやります」と言われても、大抵の子の場合は何の問題もなく向かいます。
しかしアスペルガー症候群などの子たちは、見通しを持つ力が弱いので、「いつもとちがう」ということが「とてつもなく不安なこと」になりえるのです。
その他見られる症状
上で説明した2つが主に見られる症状ですが、それ以外にも人により様々な症状が見られます。
運動が苦手、感覚過敏がある、時間の流れが理解できない、数字や漢字の暗記が得意などがあります。
アスペルガー症候群の診断について
まずはじめに一番大切なこと、診断は素人ができるものではない、ということを理解しておいてください。
これは保育士や保健士も同じです。
発達障害は他の要因も複合していたり、また似た症状の別の病気もあるため、専門医でなければ病名をつけることはできません。
アスペルガー症候群の診断基準は大きく分けて6つ、その中にさらに細かい項目が分かれています。
項目ごとに、いくつ当てはまるかによって診断がされます。
① 社会性の欠陥(極端な自己中心性)
② 興味・関心の狭さ
③ 反復的な決まり
④ 話しことばと言語の特質
⑤ 非言語コミュニケーションの問題
⑥ 運動の不器用さ
どんな障碍や病気においてもそうですが、大切なのは「診断により、障碍の名前が分かること」ではありません。
「その障碍だった場合、どんな風に接し、どんな風に療育を進めていくか」が一番大切なこと。
誰にでも苦手なことや、得意・不得意はありますよね?
障碍もそれと同じなのです。
ただ、苦手なことや弱い部分を抱えた人たちに、適切な対応や治療を進めていくために、名前がつけられているのです。
診断がおりるというのは、つまり対応の仕方が分かるということ。
アスペルガー症候群だった時、どうしたらいいのか?
こういった障碍は周りからは分かりにくい分、理解されにくく、ストレスなど精神的な負担から二次障碍を引き起こしてしまう場合があります。
早い時期から周りが適切な対応をすることで、その人にとって生きやすい環境が生まれ、また苦手なりにも社会で対応していく力をつけていくことができます。
① 「何に困っているのか」に気付く
アスペルガー症候群は脳の機能に原因がありますので、それを手術や薬で治すことはできません。
しかし周りが「何に困っているのか」「どんなことが苦手なのか」を理解して対応することはできます。
周りができるだけの困難を減らし、その子が場面ごとに適切な行動が取れるように援助してあげることが大切です。
② 具体的な声掛けをする
ぼんやりと伝えるよりも、具体的に伝えてあげる方が理解がしやすくなります。
例えば「もう少ししたら、支度をして外にあそびに行くよ」ではなく、「あと10分したら、帽子をかぶって靴を履いて外に遊びに行くよ」といった感じです。
③ 肯定的な言葉や、褒める言葉を意識する
今までの説明でアスペルガー症候群がどんなものかは分かっても、それでも苛々してしまったりする場面は出てきてしまうもの。
しかし周りが否定的な言葉を投げかけることが多いと、次第に人とコミュニケーションを取ること自体を恐れたり、「自分はダメな子なんだ」といった劣等感から二次障碍を引き起こしてしまいます。
苛々しそうな時は一度深呼吸。
その子の行動の中で、どんな小さなことでもいいので、ほめられそうなことを探してみましょう。
特に、子どもにはみんな言えることなのですが、「結果」よりも「過程」をほめてあげてください。
「上手にできたね」といった結果を褒める言葉も嬉しいものですが、「上手にできないと駄目なんだ」という気持ちを無意識に芽生えさせていきます。
「がんばったね」と過程をほめ、また結果を褒めてあげたい時は、「○○がよく頑張ったから、上手にできたんだね」と、「努力したからいい結果が生まれたんだ」と思えるようにしてあげてくださいね。
まとめ
今回はアスペルガー症候群について説明してきました。
「もしかしたら我が子がそうかもしれない」、そう思った時はとても不安だと思います。
しかし障碍は個性です。
ただそれが苦手なだけ、欠点ではありません。
また、お子さんが笑顔でいてくれれば親にとっては幸せ、それは逆も同じです。
どうぞたくさんの時間を、お子さんと笑顔で楽しく過ごしてください。
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