アデノウイルスとは、風邪に似た症状を引き起こす主な病原ウイルスの一つと考えられています。種類によっては、肺炎やプール熱、流行性結膜炎などを引き起こします。
アデノウイルスは特に幼児に感染することが多く、保育園や幼稚園で流行してしまうこともあります。
また、正しい治療を行わないと、悪化して入院することになる可能性もあります。
アデノウイルスとは、いったいどういうウイルスなのでしょうか。
アデノウイルスは、現在49種類(分類法によっては51種類)あり、それぞれの種類によって症状は様々ですが、肺炎、プール熱(咽頭結膜炎)、はやり目(流行性角結膜炎)、出血性膀胱炎、急性濾胞性結膜炎、胃腸炎などが主な症状とされています。
目次
アデノウイルス感染症の三大症状とは?
アデノウイルス感染症の三大症状といわれているのは、
- 高熱
- 結膜炎(目やにや充血)
- 咽頭炎(のどの痛みや腫れ)
です。
どれか一つでもあてはまるものがあれば、アデノウイルス感染症の可能性があります。
アデノウイルス感染症の症状
プール熱(咽頭結膜炎)
アデノウイルス感染症は、1年中感染の可能性がある病気ですが、プール熱は通常6月ごろから流行し始め、7月~8月にピークになります。
アデノウイルス感染症の中で最もかかってしまう確率が高い症状です。
症状は、発熱、のどの痛み、結膜炎です。
急に38~40℃の高熱が出て、のどが赤く腫れて痛みます。
同時に、結膜炎を起こし、目が充血して、ごろごろした感じがあったり、痛みを伴います。
プール熱に伴って発症する角膜炎にも注意が必要です。
角膜とは、まぶたの裏側と表面をつないでいる薄い膜のことです。
この角膜にウイルスが接触して、感染すると角膜の炎症、角膜炎が起こります。
プール熱にかかってしまうと、学校では出席停止になりますので注意してください。
はやり目(流行性角結膜炎)
この症状は、目が充血し、目やにが多く出るのが特徴です。
片目だけに現れるのが一般的ですが、しっかり対処しないと両目に発症してしまうこともあります。
この角膜炎が「はやり目」と呼ばれるのは、他の人に移ってしまうからです。
保育園や幼稚園で、誰かがアデノウイルスに感染してはやり目を発症していると、ほかの子も感染してしまう可能性があります。
特に、アデノウイルスは、夏場に感染力が強くなるため、6月~9月には注意が必要です。
肺炎
アデノウイルスが肺に感染してしまうと、肺炎を起こしてしまいます。
肺炎を放置していると、重症化して髄膜炎などの重い症状になる恐れもあります。
肺炎の場合、まず熱が出て、のどの痛みを感じ、咳が出ます。
ただの風邪と思わないで、早めに病院に行ってみるようにしましょう。
胃腸炎
アデノウイルスが、口から入って胃や腸に行くと胃腸炎になります。
熱やのどの痛みをともなって、腹痛や下痢、嘔吐などがある場合は、胃腸炎の疑いがあります。
また、食事にも注意が必要です。
乳製品や脂肪の多い食べ物は消化が悪い、胃や腸に負担がかかってしまうため、控えたほうが良いです。
また、下痢や嘔吐による脱水症状にならないように、水分補給をしっかり行ってください。
アデノウイルス感染症の診断

これまで見てきたとおり、アデノウイルス感染症の初期症状は、風邪の症状と良く似ています。
特に夏場に多いことを除けば、風邪と間違えてしまうかもしれません。
しかも、とても移りやすい病気です。
熱がある間は、保育園や幼稚園、学校などは休ませてください。
では、症状が風邪ではなく、アデノウイルス感染症であることはどのように診断されるのでしょう。
以前は、アデノウイルスの確定診断には、症状、病歴、流行状況などから推定して、鼻水、唾液などからウイルスを分離して、抗原(病原体)の検出をしてきました。
しかし、最近では、特別な方法を用いた迅速診断キットができています。
これは、綿棒でのどや目をこすって採取した検体を材料とするもので、これに試薬を作用させると、15~20分程度で判定できます。
患者への負担も少なく、早期診断に有効とされています。
これで、陽性と出れば、アデノウイルス感染症と診断されます。
まとめ
- アデノウイルスとは、風邪に似たアデノウイルス感染症の症状を引き起こす原因となるウイルス
- アデノウイルス感染症は夏場に流行することが多い
- アデノウイルス感染症は感染力が強い
- アデノウイルス感染症の三大症状は高熱、結膜炎、咽頭炎
- アデノウイルス感染症は重症化すると、入院するかもしれない
- アデノウイルス感染症は迅速検査キットを使って診断される
これから、ますます熱くなっていきます。
プールに入る機会も多く、また大勢で集まる機会も多くなります。
感染力の強いアデノウイルスにかかってしまったら、早めに症状が軽いうちに、小児科を受診して、しっかり治して、この夏を楽しみましょう。
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